生きた心地がしない

なぜいつも笑わせられないのか。生きた目をしてくれないのか。君は、何を考えているのか。全く考えていなかったし、考えることもできない。少し、ニコリと口角を上げた君を納得のいかない僕はぐちゃぐちゃにして無かったことにしてしまうのだから、僕はいつまでもたどり着けず、君はいつまでも着地できない。ただ自己満足で右手を動かして、自分に酔いしれているものだから、いつまで経っても何も学習できず、夢で見た君は出来上がらず、うまく立たせることもできない。できない自分に腹が立ち、進もうとしない自分を見て見ぬ振りして、君を何回も汚してしまう。できない、やりたくない、怖い、批判されたくない、進みたくない、ただ気持ちよくなっていたい。そしてまた君のクローンの出来上がり。それでも、手を動かす最中はあんなにも無我夢中で必死でいたのだ。君の目が輝いて、華奢で艶かしい体の曲線美には僕の目が輝いた。美しくなっていくと、そう勘違いをしてしまう。どこかで調子に乗り、どこかで無駄なことをしてしまう。結局最後には、死んだ虚な目で遠くを向いて、無口で無表情で、そして暖かさもなく、動きそうにもない君がそこにいたのだ。生かそうとはしたのだ。生きている君が目の前にいて欲しかった。でも僕にはそれができなくて。数日後、君は言ったのだ。「生きた心地がしない」のだと。そうだその通り。僕は君を生かしてあげられなかった。最後はなぜかめちゃくちゃになって、全てを消したいほど汚れてしまい、鮮やかさも暖かさもない君だけが残るのだ。よく考えればそうさ。笑っている君はおろか、泣いたり、怒ったり、恥じらったり、悔しがったり、絶望したりしている君を僕は見れたことがない。無論自分がそうしているのだけれど、どうして君を人らしく暖かく生かしてあげられないのかと日々目が抉られるほど悩むばかり。でも、きっと僕はできるさ。君を生かしてあげられる。何年かかるかはわからないけど、君は僕の中でずっと生きている。夢で、瞼の裏で、脳裏で、君は笑って泣いていつも生きているのだから。

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